「出産祝いには、やっぱり『のし紙』をつけた方が良いのだろうか?」
「どんな、のし紙を選べば失礼にならないの?」
「名前って、どうやって書くのが正しいマナーなんだろう…」
特に、改まった贈り物をする機会が少ない方にとっては、日本の伝統的な贈答マナーである「のし紙」のルールは、少し難しく、複雑に感じられるかもしれません。
しかし、この「のし紙」は、単なる形式的な飾りではありません。それは、相手への祝福と敬意の気持ちを、言葉にしなくても雄弁に伝えてくれる、日本の美しい文化そのものです。
この記事では、そんな出産祝いにおける「のし紙」の全てを、その基本的な意味から、正しい選び方、書き方のマナー、そして知っておくと役立つ豆知識まで、初心者の方にも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
のし紙とは
「のし」とは、のし紙の右上にある、六角形の飾りのことです。そのルーツは、古来より縁起物とされてきた「のしあわび(鮑を薄く伸ばして干したもの)」にあります。かつては、この本物ののしあわびを、お祝いの品に添えて贈るのが習わしでした。
時を経て、その風習が簡略化され、現在では、のしあわびを模した飾りが「のし」として、印刷される形になったのです。のしは「生もの」の象徴であるため、お祝いの品が肉や魚といった生鮮品の場合は、意味が重複してしまうため、のしを付けないのが正式なマナーとされています。
出産祝いにのし紙をつける?
結論から言うと、親しい間柄であれば、必ずしも必須というわけではありません。可愛らしいリボンをかけたラッピングで贈っても、マナー違反にはなりません。
しかし、特に相手が職場の上司や、目上の方である場合、あるいは改まったお祝いの気持ちをきちんと伝えたい、と考える場合には、のし紙をつけるのが、より丁寧で正式なマナーとされています。
のし紙をつけることで、贈り物が単なるプレゼントではなく、「お祝い」という特別な意味を持つ、フォーマルな贈答品であることを示すことができます。
どちらが良いか迷ったときには、のし紙をつけておけば、まず間違いありません。お祝いの気持ちを、より丁寧に、そして敬意を込めて伝えたいと考えるのであれば、ぜひのし紙を活用することをお勧めします。
出産祝いののし紙を選ぶポイント
のし紙には、様々な種類があります。お祝いのシーンに合わないものを選んでしまうと、かえって失礼にあたります。出産祝いにふさわしい、正しいのし紙の選び方には、4つの重要なポイントがあります。
ポイント①紅白の水引がある
のし紙の中央にかかっている飾り紐のことを「水引(みずひき)」と呼びます。出産祝いのようなお祝い事(慶事)には、紅白(赤白)の水引が印刷されたものを選びます。黒白や黄白の水引は、お悔やみ事(弔事)に使われるものなので、絶対に間違えないように注意しましょう。
ポイント②水引が花結びになっている
水引の結び方には、大きく分けて「蝶結び」と「結び切り」の2種類があります。出産祝いに用いるのは、「蝶結び(花結び)」です。 蝶結びは、結び目が簡単にほどけ、何度でも結び直せることから、「何度あっても喜ばしいお祝い事」に使われます。出産は、二人目、三人目と、何度繰り返してもおめでたいことなので、蝶結びが最適なのです。
ポイント③結び切り・あわじ結び・赤棒は避ける
一方で、「結び切り」や「あわじ結び」は、結び目が固くほどけないことから、「一度きりであってほしいお祝い事」、すなわち結婚祝いや、病気の快気祝いなどに使われます。出産祝いでこれらを使うのは、「これ以上、子供が生まれないように」という意味合いに取られかねない、重大なマナー違反です。
また、水引がなく、のしだけが印刷された「赤棒」は、記念品や粗品といった、ごく簡素な贈答に使われるものです。出産祝いのような、大切なお祝いにはふさわしくありません。
ポイント④贈る品に合ったサイズを選ぶ
のし紙は、贈る品物の大きさに合わせて、適切なサイズのものを選びましょう。品物が大きいのに対して、のし紙が小さすぎたり、その逆だったりすると、見た目のバランスが悪くなってしまいます。品物を購入したお店で、「出産祝いです」と伝えれば、適切なサイズののし紙を用意してくれますので、お任せするのが安心です。
出産祝いののし紙の書き方
正しいのし紙を選んだら、次はその書き方です。毛筆や筆ペンを使い、楷書で丁寧に書くのが基本です。ここでは、表書きと名入れの基本的な書き方を解説したのち、特に迷いやすい、連名で贈る場合や、グループで贈る場合の書き方について、詳しく見ていきましょう。
連名で贈る場合
夫婦や、職場の同僚2~3名など、連名で贈る場合は、水引の下段中央に、全員の名前を書き入れます。 その際のルールは、「右側が上位」となることです。 職場のメンバーで贈る場合は、役職が一番高い人を一番右に書き、そこから左に向かって、役職順に名前を連ねていきます。
特に役職の上下がない友人同士などの場合は、五十音順に書くのが一般的です。夫婦連名の場合は、夫のフルネームを右側に書き、その左に妻の名前だけを書きます。
4名以上のグループで贈る場合
職場の部署一同や、サークルの友人一同など、4名以上のグループで贈る場合は、全員の名前をのし紙に書くと、ごちゃごちゃしてしまい、かえって見栄えが悪くなります。
この場合は、代表者1名のフルネームを中央に書き、その左側に「外一同(他一同)」と少し小さめに書き添えます。あるいは、「〇〇部一同」「友人一同」といったように、グループ名を書くのがスマートです。
そして、お祝いを贈った全員の氏名は、奉書紙や白い無地の便箋などに書き出し、ご祝儀袋の中袋に同封します。これにより、誰からのお祝いなのかが、相手にきちんと伝わります。
出産祝いののし紙のマナー
その他にも、知っておくと、より丁寧な印象を与えることができる、のし紙に関するマナーがいくつかあります。
筆や筆ペンを使って書く
のし紙の表書きや名入れは、毛筆や筆ペンを使い、濃い墨で書くのが正式なマナーです。これは、お祝い事への敬意と、喜びの気持ちを表すためです。ボールペンや万年筆、あるいは薄墨のペン(弔事用)で書くのは、マナー違反とされていますので注意しましょう。
字に自信がない場合は、品物を購入したお店で代筆サービスをお願いするのが安心です。
外のしをかける
のし紙の掛け方には、品物に直接のし紙をかけてから包装紙で包む「内のし」と、品物を包装紙で包んだ上からのし紙をかける「外のし」があります。 出産祝いの場合は、誰からのお祝いなのかが、すぐに分かるようにという配慮から、外のしで贈るのが一般的です。特に、たくさんの人がお祝いを持って集まるような場面では、外のしにしておくことで、相手が贈り主を確認しやすくなります。一方で、郵送する場合や、気持ちを控えめに伝えたい場合は、内のしが選ばれることもあります。
出産祝いの金額の相場
出産祝いとして贈る現金や品物の金額は、贈る相手との関係性によって変わってきます。相手に気を遣わせすぎず、かつお祝いの気持ちが伝わる、一般的な相場を把握しておくと、品物選びの参考にもなります。友人であれば3,000円から10,000円、職場の同僚や上司へは5,000円から10,000円、兄弟姉妹や親戚へは10,000円から30,000円程度が目安とされています。もちろん、これはあくまで一般的な相場であり、最も大切なのは金額の多寡ではなく、祝福の気持ちそのものです。
出産祝いにおすすめの品
ここでは、マナーを守った上で、実際にパパ・ママに喜ばれる、定番で人気のギフトをいくつかご紹介します。
ベビーウェア
可愛らしいベビーウェアは、出産祝いの王道です。自分たちではなかなか買わないような、少し上質なブランドのものや、オーガニックコットンなどの肌に優しい素材のものが喜ばれます。すぐにサイズアウトしてしまう新生児用よりも、少し大きめの80cmサイズなどを選ぶと、長く着てもらうことができます。
おもちゃ
赤ちゃんの五感を刺激し、健やかな成長をサポートする知育玩具も、人気のギフトです。口に入れても安全な天然木で作られた積み木や、優しい音色のラトル(がらがら)、あるいは肌触りの良い布絵本などが定番です。長く使えるものを選ぶのがポイントです。
おむつケーキ
実用性と見た目の華やかさを両立した「おむつケーキ」も、すっかり出産祝いの定番となりました。紙おむつは、毎日大量に消費する必需品なので、もらって困ることはありません。おむつだけでなく、ベビーソックスやおもちゃなどが可愛らしくデコレーションされており、開ける楽しみもあります。
カタログギフト
「相手の好みが分からない」「他の人の贈り物と重なるのが心配」という場合に、最も確実で失敗のない選択肢が、カタログギフトです。ベビー用品に特化したカタログギフトなら、パパ・ママが、その時点で本当に必要としているものを、自分たちの好きなデザインで選ぶことができます。
出産祝いののしには選び方や書き方など様々なマナーがある
出産祝いに欠かせない「のし紙」について、その選び方から書き方、そして知っておくべき様々なマナーまでを、詳しく解説しました。
たくさんのルールがあり、少し難しく感じられたかもしれませんが、その全てに共通しているのは、相手への祝福と、敬意、そして思いやりという、温かい心です。
その温かい気持ちを、どんな品物に託して贈るか。もし、プレゼント選びに迷われた際は、ぜひpopomiのオンラインショップを訪れてみてください。世界中からセレクトした、赤ちゃんとご家族の毎日を笑顔にする、安全で、高品質、そしてデザイン性にも優れたこだわりのアイテムを多数取り揃えております。